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世界の半分が飢えるのはなぜ?

世界の半分が飢えるのはなぜ?」(ジャン・ジグレール、合同出版)という本を読みました。

世界の半分が飢えるのは、食糧が不足しているからではない。
地球は世界人口が今の二倍になっても、それを養う能力がある。
豊かな食糧が公平に分配されていないことが原因である。

飢えは原因によっていくつかの形に分けられる。
経済的飢餓」と「構造的飢餓」である。
「経済的飢餓」とは、突発的で急激な一過性の経済的危機によって発生する飢餓のこと。
台風や旱魃、戦争などが原因で起こるものが経済的飢餓にあたる。

これに対して、「構造的飢餓」とは、長期にわたって食糧供給が滞っている場合に使われる。
構造的飢餓は、台風や旱魃といった外部からの急な打撃で起こるのではなく、その国を支配している社会構造がもたらす必然的な結果として起こる。

たとえば、政治腐敗
援助物資は、政府高官や衛兵などに横取りされ、市場で売りさばかれる。

市場価格操作
穀物メジャーは、市場価格をつりあげるため、自社の貯蔵倉庫に穀物を貯めこんでおく。

世界の穀物市場、シカゴの冷徹な支配者たちは、穀物不足に悩まされるチャドやエチオピアやハイチのことなんて気にしない。
生と死のはざまで人々が苦悩していることや、彼らには手が出ないような高値で穀物が取引きされていることなどには、とんと関心がない。
ただ毎週、数百万ドルの利益を上げることだけに心を傾けている

内戦
戦争のために家や畑、家畜を失う。
反政府グループはゲリラ戦を展開し、罪もない農民を捕まえては村の広場に連行し、腕や手首を切り落とすという蛮行を繰り返す。

どうしてそんなに内戦が起こるの?

それはもう複雑な原因がごちゃごちゃにからみ合っている。
民族対立あり、ダイヤモンドや金、石油などの資源の争奪戦ありだ。
その争いに国際金融グループ・国際企業などの外国勢力が介入して、地域の戦争指導者に武器を与えたり、兵士を雇うことができるようひそかに資金援助をしていることもある。

飢えを利用する国際企業

飢えを武器にして有名になったスイス企業の例を挙げてみようか。
悲しいかな。あのネスレだ。
世界で二番目に大きな食品会社だ。

1970年1月1日、チリの左派党と労働組合が協力した「人民戦線」という同盟が、101項目に及ぶ行動計画を発表した。
その第一項目には「同盟推薦の候補者が大統領選挙で勝利したあかつきには、15歳以下のすべての子どもたちに毎日半リットルの粉ミルクを無償で配給する」と書かれていた。
当時のチリではなによりもまず、多くの子どもたちの栄養不良を解消する必要があったからだ。
その年の9月、大統領選挙が行われ、人民戦線推薦のサルバドール・アジェンデが36.5パーセントの得票率で当選し、11月に両議会から大統領として指名された。

アジェンデってどんな人?

アジェンデは小児科医だった。
幼児期のビタミンやタンパク質不足の影響、少年少女の健康問題に理解が深く、国民から信頼されていた。
だから、公約のトップに粉ミルクの無償配給を掲げたのだ。

当時、粉ミルクはネスレの独占市場だった。
ネスレは、莫大な利益のほとんどを粉ミルクと乳児用食品から生み出していた。
ミルク工場を経営し、酪農家と独占的に契約を結び、販売網も一手ににぎっていた。
だから粉ミルクといえば、ネスレと無縁でやっていくことはできやしなかった。

それで粉ミルクの買い上げはうまくいったの?

いや。
スイスのネスレ本社がアジェンデ政権に協力することを拒んだんだ。
1971年2月のことだった。

どうして?

当時のアメリカ大統領ニクソンと大統領補佐官キッシンジャーが、アジェンデ政権の改革プログラムを嫌ったからだ。
アジェンデ政権の生み出したプログラムの多くは、外国への依存から脱却し、チリの自立性を高めること、国内の社会的公正を強化することを目的としたものだったから、もし改革プログラムが実施されると、それまでアメリカの国際企業がチリ国内で享受していた多くの恩恵を十分に得られなくなる可能性があったのだ。

だからキッシンジャーは、ありとあらゆる方法を使ってアジェンデ政権の運営を邪魔しようとした。
チリへの援助を打ち切り、輸送業界のストライキをあと押しし、鉱山や工場でのサボタージュを加速させた。
西側諸国の国際的な銀行、工場、商社もアメリカの方針に追随し、ネスレもまたアジェンデ政権に敵対する立場をとったわけだ。

それでどうなったの?

粉ミルクの無償配給は実施されなかった。
そのほかの改革プログラムもアメリカが援助を打ち切ったことが原因で財政的に厳しくなり、実施が困難になってしまった。
そして1973年9月11日、ピノチェト将軍率いる軍部極右勢力がアメリカ中央情報局(CIA)と共謀し、クーデターを起こした
アジェンデと同志たちは武器を手に大統領府で応戦したが、午前11字に国民向けにラジオ演説をしたのを最後に肉声が途絶え、午後2時半、ついに殺害されてしまった。
・・・

このクーデターでは大学生、キリスト教指導者、労働組合幹部、知識層、芸術家、そして一般の労働者にいたるまで数千人も殺害されたといわれている。
こうしてふたたび、数万人の子どもたち、赤ちゃんたちが希望を断たれ、飢えの犠牲になっていったんだ。

現在の日本では食べられないというのは極めて例外的な状況です。
今日、桜を見に行って外食をして帰ってきました。
食べているときにふと、この本に書いてあったことを思い出しました。

第三世界でおこっている多くの環境災害、飢餓、民族抗争は、先進国の政府や国際援助機関、国際世論に対して、もっとこの問題に関心を持つように絶え間なく働きかけるが、世界の人びとは、時間がたつと犠牲者の姿はおろか、問題そのものの存在を忘れ去ってしまう
死者たちはふりかえられることなく、深い孤独のうちに去ってゆく。
はじめのうちは力強かった国際的な連帯感もジリ貧になる。

土地改良も、砂漠化対策も、スラム街のインフラ整備も、農協援助もも井戸つくりのプロジェクトも、結局のところ緊急処置にしか過ぎないことに早く気づかなければならない。
どれもとてもよいことだし、やらなくてはならないことだ。
でもいくらやっても、そのあとにすぐ襲ってくる混乱までの一瞬の気休めで、問題が根本的に解決することはない。
飢餓問題の根本的な解決のためには、各国が自給自足の経済を自らの力で達成すること以外に本当の出口はないのだと思う。

ほんとうの出口?
それってどこにあるの?

飢えに苦しむ人たちの様子を日常の風景にしてしまうような社会、人を人としてあつかわなくなった殺人的な社会構造をかえることだ。
人間の顔をなくし、社会倫理を逸脱してしまった市場原理主義経済暴力的な金融資本、国民から富を巻き上げるだけの国家財政が世界に不公平と苦悩をもたらしている。
そういうもののかわりに、「自分たちの手で自分たちの国づくりを」「自立した経済を」という考え方を中心にすえることがとても大事なのだと思う。

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コメント

>飢えに苦しむ人たちの様子を日常の風景に
どこか現実離れしたような感じで、マヒしたような感覚になるのは怖いことですよね。
ベストの方法でなければ行動しない、というのではなくて、愚直だろうがなんだろうが、自分で出来ることから少しずつやっていこう、という心の向きが大切な第一歩かな、と思います。

投稿: うろこ | 2009年4月 2日 (木) 18時12分

アジェンデ政権の悲劇は、世の中がいかに非合理にできているかの象徴かもしれませんね。自国の都合から不合理を押しつけてきた米国が凋落する中で、このあり方にどのような変容があるのか、じっくりと注視していきたいですね。

投稿: ASAKA.YUTAKA | 2009年4月 4日 (土) 23時54分

Q太郎さんは勉強家ですね。
名古屋の熱田だと、Q太郎さんがお住まいのところからすると、お金だけでなく時間も随分かかりますよね。すごいなあと、ひたすら感心しています。
ちなみに私は名古屋育ちです。(^_^)b

投稿: ASAKA.YUTAKA | 2009年4月 5日 (日) 00時01分

うろこさん

いつもコメントありがとうございます。

>ベストの方法でなければ行動しない、というのではなくて、愚直だろうがなんだろうが、自分で出来ることから少しずつやっていこう、

そうですね。。
考えていると、とかくマイナスの想像をしてしまいがちになりますよね。
出たとこ勝負の姿勢も大切だと思いますsign03

投稿: Q太郎 | 2009年4月10日 (金) 15時59分

ASAKA先生

いつもコメントありがとうございます。

>ちなみに私は名古屋育ちです。(^_^)b

おお、そうでしたか。
時間は往復で4時間くらいかかります。
でも、名鉄はミューチケットという指定券を350円て買うと、とても快適です。
たまに、事故などで運転が止まってしまうのが難点ですが・・・

投稿: Q太郎 | 2009年4月10日 (金) 16時03分

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